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＝＝＝＝「山を飛ぶ花笠」 評＝＝＝＝
筋は殊更あたらしくもない、市村座の若女形が旅興行では名優そこのけの人気を得たり、医師の娘が女形の女房になりざまお仕打ち巧く切り廻すなど、常識で考えきれないちやちな原作（川口松太郎）を伊藤大輔は器用にまとめている 保津川下り、旅路の場面など伊藤好みのロケがキャメラによってよくとらえられ負うところ多いようだ、今まであらわれた歌舞伎役者の出演映画中で割合見易いのは、純粋を売り物に現代味を多少とも交えたからで、情炎とさえ名付ければ女性層に受けると思ったら誤りも甚だしい（樺島） |
江戸歌舞伎の若女形（尾上梅幸）と医師の娘（花柳小菊）が駆落ちして一座を組んで流れるが彼は眼疾を患いこれを幸いかねて彼女を所望する蘭医（月形龍之介）が癒してやる代わり妻に貰い受けたいと約束する囗囗囗たけれども二人の愛は絶ちがたく月形は花柳をあきらめ梅幸と花柳は喜びにふるえながら旅にでる――