|
＝＝＝＝文楽 “松竹、文楽を手放す”の真相＝＝＝＝
文楽座が毎興行赤字であることは事実で、本年に入ってからだけでも三月興行（廿一日間）では六十八万円、五月興行（廿二日間）八十三万円、八月興行（十日間）九十六万円の赤字で 東京の大谷松竹社長は「この時に当つて文楽座員の奮起を望む」といつた文書を発し、これを松竹大阪支社の藤井清治演劇担当重役から十月公演の千秋楽の当日山城少掾、吉田文五郎他座員一同に通達したもので、その内容は、先に文楽座から分裂した三ツ和会派は曲りなりにも自立しているのだからそれに倣って因会派も一層の奮起と努力をして座員各自が不況打開に向かってまい進してもらいたい、赤字覚悟の保護育成にもある限度がきているから――という意味のことだつたが、それが「松竹、文楽を手放す」という風に伝わったのだそうだ（写真は山城少掾（右）と吉田文五郎） |
文楽人形浄瑠璃も毎興行八十万円前後というあまりにも大きな赤字では、商業演劇の興行会社である松竹としては他の興行部門のつり合いからもこれ以上の犠牲は忍べず、ついに涙を揮って四十年来保護してきた文楽を手放すことになった――というニュースがここ数日来パッと拡まった、がこれは誤りでその真相は・・？