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河内音頭の華やかなリズムを、ニュースタイルで聞かせましょう……と、エレキバンドを弾いていた三門博若が十二月の角座で初舞台をふむ。 もともと、河内音頭は太穀と三味線で、にぎやかに演奏するものだが三味線をギターにかえたのが、新しいところ。 盆踊にも使われるが、その歌い方は数多くの人によって工夫され大阪の芸能舞台に最初にかけられたのは、明治三十四年に現代漫才の先駆といわれる玉子家円辰。浪曲を加味したものもあり、戦後リバイバル・ブームがおこった。 b.五年目迎えた府助成浪曲大会 大阪府助成による浪曲大会が四十八年にスタート以来、五年目を迎え、二十五日には吹田市民会館で開催したのに続いて、来年三月には、藤井寺市民会館、河南会館でも開催される。 府助成による興行は、本来、大衆芸能としての浪曲の芸を残そうと実施しているものだが、興行主を介在させないことを条件にしているだけに、運営にも苦心のいるところ。 かつて、全盛時代には大阪市内で浪曲専門の寄席五十館を数え、千人以上の浪曲師が競った栄光が取り戻せるかどうか。「あいつは、浪花節的だ…なんて、まるで前近代的で悪いものの代表のように戦後、誤解され続けた。しかし、最近は若い人たちの間で見直しの動きもあり、なんとか…」とは、斎東満師匠の弁。 c.全曲演奏会に挑むベテラン 本の〝全集″は音楽では〝全曲演奏会″。長丁場だけに息の長い演奏者でないとつとまらないが、この道のベテランが京響のチェロ竹内良治＝写真上。 これまでにモーツアルト「弦楽四重奏曲」ベートーベン「ピアノ三重奏曲」の全曲演奏を果たし、今度はベートーベン「チェロ・ソナタ」全五曲に敢然と。「長年の夢でした。ベートーベン没後百五十年の記念？ いえ、知りませんでしたねえ」 ピアノは、これまたベテラン池田洋子＝写真下。チェロ・ソナタではピアノが〝物を言う″が「チェロのお邪魔にならぬように、支えに回ります」。ともに勇ましい話は聞けずじまい。室内楽そのもののような謙虚なお答えでした。＝28日（1、２、4番ほか）12月2日（3、5番ほか）7時、大阪厚生年金中ホール、千七百円、連続券三千円。 d.顔見世連続二十五年で表彰 京都・南座の顔見世に、連続二十五年出演している片岡仁左衛門が、初日の一日の開幕前、松竹から表彰される。 昭和二十八年以来、演じた役は九十余役。しかも初舞台は、明治三十八年の顔見世で、片岡千代之助の幼名で満二歳だったというから気の遠くなるような話。 今年の顔見世にも「阿古屋」の重忠＝写真＝「新宿夜話」の甚五左衛門、「熊谷陣屋」の弥陀六の三役で大いに気を吐く。 「ごひいきのみなさまのおかげと、まず感謝しています。これからも三十年、三十五年と、いのちの続く限り舞台を努めさせていただきます」と、いかにも誠実な人柄の松島屋らしい言葉だった。 e.岸壁の母がお蝶夫人に変身 「岸壁の母」の二葉百合子が、今度は「お蝶夫人」に変身する＝写真。師走の大阪・新歌舞伎座公演。 劇中、二葉は浪曲はうならず、プッチーニの名作「マダムバタフライ」のアリア「ある晴れた日に」をプリマドンナの貫禄を発揮して歌うとか。松尾国三・日本ドリーム観光社長自身の企画で、演出の橘左衛門というのは、元女優の松尾社長夫人の芸名。 「アメリカ領事館の庭で、初めてピンカートンに見そめられるという“なれそめ”を演じるの。元は許婚者もいた武家娘の設定」と二葉。それにしても、堂々たる体格だけに、チョウチョウではなくて、満艦飾の〝ふくらスズメ″になるのでは・・・と口の悪い連中がささやいているとか。 f.グレゴリオ聖歌が初上陸 バロックからルネサンスへ、中世へと古い音楽の〝見直し″が静かなブーム。ついに西洋音楽の原点ともいえるグレゴリオ聖歌が〝初上陸″するまでになった。 来日するのは、ローマ教皇庁の宗教音楽大学の関係者や聖歌学者たちで四年前に結成されたネオ・グレゴリオ聖歌隊＝写真。指揮者ルイージ・アグストーニ師（６４）を中心に三、四十歳代の男性十五人。最近ではフランスのソレム修道院を発祥地とする聖歌の唱法が知られてきたが、この聖歌隊は聖歌写本を学問的に分析して得た唱法で歌うのが特色。 大阪公演ではクリスマスの歌中心に約二十曲、無伴奏。「儀式のなかで歌われるともっと理解されると思いますが」と、かつて留学した大阪信愛女学院の帘（さかばやし）功カトリック司祭。自ら解説を担当する。滞日中東京でＮＨＫ、テレビ朝日ビデオ撮り、音楽学会での講演などがある。＝12月3日6時、大阪カテドラル聖マリア大聖堂（カトリック玉造教会＝環状線森之宮下車、日生球場西南）前売千八百円、学生千五百円。 |
a.ギターに乗せた河内音頭