師走ほ寒波であけた。円高、不況、��学校は出たけれど″の就職難など、厳しい��環境″におかれた一年の締めくくりにふさわしく一日朝は厳冬期の冷え込み。近畿の山間部では軒並み氷点下を割った。年の瀬の町には間もなく官公庁のボーナスが出回るが、民間ボーナスは実質目減りが目立ち、歳末たすけあい運動の呼びかけが身にしみる。消費の景気をあおろうと、歳末商戦にかける百貨店は“円高ドル安”で輸入品バーゲンのあの手この手をつくし、人権週間（四日から）すす払い（十三日）官公庁で御用納め（二十八日）とこよみが飛ぶように――。

 

―――ボーナス

関西経営者協会がまとめた��ボーナス速報″は「業績のよいところで昨冬より��額高の率安″か。あとは特別悪い業種や企業を除いて金額横ばい、率微減が特徴」。大手では鉄鋼、造船、自動車が年間方式で夏のうちに決まっでおり、目玉になるのは電機。その電機も業績好調とはいえ��円高ドル安″で先行きを警戒して意外に渋い妥結ぶり。松下電器（四十二万八千五百円、二・九五カ月分）三洋電機（四十万七千九百二円、二・九カ月分）と金額、率とも昨冬よりわずかに増えた程度。

　平均六十万円を超える高額で妥結「率なんか気にならない」とホクホク顔なのは食品の江崎グリコ（六十一万二千三百円）や製薬の藤沢薬品（六十七万三千六百二十三円）。逆に構造不況業種の繊維大手は二・一〜二・三カ月分の要求に対して帝人の二十五万円、一・六四カ月分の回答が目立つ程度。東洋紡など綿紡各社は未回答のまま師走入り。

ボーナスはおろか「カネなし、

会社もなし」で年を越す労働者も急増中だ。大阪総評が一日現在でまとめた調査によると、三カ月以上の長期闘争中の組合は八十九組合、四千五十八人（前年同期八十二組合、約三千六百人）。うち冬のボーナスはおろか給料も支給されていないダブルショックの組合が四十七労組、約千二百人もあり“行商”で生活費をねん出したり子供の進学をあきらめさせるなど家族へのしわ寄せも深刻。

 

―――デパート

歳末商戦に入った百貨店は円高ラッシュに便乗して“客寄せ”の秘策を練っている。中心になるのは、輸入モノの婦人服、アクセサリーなど服飾、雑貨類のバーゲン。各店とも「円高だからといって格別に仕入れ価格は下がっていない」といいながらも３〜４割の値引きを計画中で「内容はまだ言えません」（三越・北浜）とこの“一戦”にかける意気はすさまじい。

一方、かつてお歳暮で人気のあったジョニ赤など中級輸入洋酒は、値下がりが目立ち、お中元相場の三千円−三千五百円が値崩れ、現在は二千五百円−三千円という。

　また、京都近鉄百貨店前には一日朝、高さ五・五メートル。幅一・五メートルのジャンボ門松が立てられ、一足早い新春ムード。この門松、費用はざっと八十万円とか。

 

顔見世も幕あき

【京都】京・南座の顔見世興行も一日から始まった。歌右衛門、鴈治郎、幸四郎、扇雀、芝翫らの豪華な顔ぶれに人気は上々。「何をさておいても顔見世だけは見のがせない」と、午前九時半の開場を待ちかねたように着飾った女性客らが詰めかけ、ここばかりは不況どこ吹く風。二十六日まで。

（写真）早々と、飾り付けられたジャンボ門松（京都近鉄百貨店で〉