ｓ２００１文楽座

昭和２０年１月
決戰下　一月の人形浄瑠璃　　　四つ橋　文樂座

決戰下　一月の人形浄瑠璃　　　四つ橋　文樂座
　　　　　＝太夫・三味線・人形總出演＝

（晝の部）
西亭作詞並作曲　楳茂都陸平振附
　新作　出　　陣
　伽羅先代萩　　竹の間御殿の段より政岡忠義の段迄
　假名手本忠臣藏　　祇園一力茶屋の段

★十四日より晝夜の狂言入替上演致します★

（夜の部）
　壽式三番叟
　菅原傳授手習鑑　　築地の段より松王首實験の段迄
　本朝廿四孝　　十種香の段より狐火の段迄

昭和二十年一月元旦初日（二十五日迄）
　　元旦より五日迄　晝十一時・夜四時
　　六日より毎日　　晝正午・夜四時半(二部)開演）

一部料金(各等入場税共)
　　一等席　五圓
　　二等席　二圓四十錢
　　三等席　八十錢

一等御座席・一等椅子席は五日前より前賣切符發賣し居ります
　　前賣切符專用電話南７５四七一一番
　　一般御用の電話南７５三〇三二・三七八八

晝の部出　陣　巴御前　　　　竹本相生太夫・竹本伊達太夫　木曾義仲　　　竹本濱太夫　郎　當　　　　竹本津磨太夫・竹本八十太夫　ツ　レ　　　　豊竹松島太夫・豊竹呂和太夫　　後　　　　　鶴澤清二郎・鶴澤吉三郎・　　　　　　　　豊澤新三郎・豊澤仙松・　　　　　　　　鶴澤叶太郎　　前　　　　　野澤吉五郎・野澤喜左衛門　木曾義仲　　　吉田光造　郎　當　　　　吉田多三郎　巴御前　　　　吉田榮三郎　法　師　　　　桐竹紋太郎　軍兵　　　　　大ぜい伽羅先代萩竹の間の段　　　　　　　　竹本源太夫　　　　　　　　野澤松之輔　鶴喜代君　　　吉田光次　一子千松　　　吉田亀夫　乳母政岡　　　桐竹紋十郎　八　汐　　　　吉田光造　女醫小牧　　　吉田小兵吉　忍　び　　　　吉田多三郎御殿より政岡忠義の段迄　　　　　　　　豊竹呂太夫　　　　　　　　鶴澤友衛門　　　　　　切　竹本重太夫　　　　　　　　豊澤仙糸　乳母政岡　　　桐竹紋十郎　鶴喜代君　　　吉田光次　一子千松　　　吉田亀夫　八　汐　　　　吉田光造　沖の井　　　　桐竹紋司　榮御前　　　　桐竹紋造
假名手本忠臣藏　祇園一力茶屋の段　由良之助　　竹本大隈太夫/吉田玉助　力　彌　　　竹本津磨太夫/吉田文枝　矢間重太郎　豊竹呂太夫/桐竹紋太郎　竹森喜太八　竹本源太夫/吉田藤一　千崎彌五郎　竹本濱太夫/吉田玉枝　仲　居　　　豊竹松島太夫・竹本八十太夫・　　　　　　　豊竹呂和太夫/大ぜい　おかる　　　竹本伊達太夫/桐竹紋十郎　亭　主　　　豊竹富太夫・豊竹司太夫/吉田常次　伴　内　　　豊竹富太夫・豊竹司太夫/吉田玉德　九大夫　　　竹本重太夫/桐竹門造　平右衛門　　竹本相生太夫/吉田亀松　　前　　　　鶴澤清八　　後　　　　野澤吉五郎　　　　　　　野澤喜左衛門

夜の部壽式三番叟　千　歳　　　竹本南部太夫/吉田玉市　　翁　　　　竹本住太夫/桐竹門造　三番叟　　　竹本七五三太夫/吉田光造　三番叟　　　竹本雛太夫/吉田榮三郎　　　　　　　豊竹宮太夫　　　　　　　鶴澤重造・野澤八造・野澤錦糸・　　　　　　　鶴澤友平・鶴澤寛弘・豊澤猿二郎

菅原傳授手習鑑築地の段　　　　　　　　　　　竹本雛太夫　　　　　　　豊澤廣助寺入りの段　　　　　　　豊竹宮太夫　　　　　　　野澤八造　　　　　　　野澤錦糸松王首實験の段　　　　　切　豊竹古靱太夫　　　　　　　鶴澤清八　清　貫　　　桐竹紋太郎　舎人梅王丸　吉田玉德　希　世　　　吉田玉市　菅丞相　　　桐竹門造　御台所　　　吉田小兵吉　主　税　　　吉田藤一　武部源藏　　桐竹亀松　女房戸浪　　吉田榮三郎　菅秀才　　　吉田光次　よだれくり　吉田萬次郎　女房千代　　吉田文五郎　一子小太郎　吉田亀夫　下男三助　　吉田兵次　春蕗玄蕃　　吉田玉德　舎人松王丸　吉田榮三　手習子　　　大ぜい　取　巻　　　大ぜい

本朝廿四孝十種香の段　　　　　　　　竹本南部太夫　　　　　　　　鶴澤寛治郎狐火の段　　　　　　　　竹本七五三太夫　　　　　　　　鶴澤綱造　　　　　　ツレ鶴澤友平　　　　　　琴　鶴澤寛弘
　武田勝頼　　　吉田玉助　娘八重垣姫　　吉田文五郎　腰元濡衣　　　桐竹紋司　白須賀六郎　　桐竹紋太郎　原小文治　　　吉田兵次

文樂座小史（昭和十九年三月調査）

○竹本座創立（現今ヨリ二百五十九年以前）貞享元年二月（道頓堀西ノ芝居）

○文樂座發祥（現今ヨリ約百五十九年以前）天明年間淡路ヨリ植村文樂軒大阪ニ來ル

○第一次稲荷社内時代　文化八年ヨリ天保十三年ニ至ル

○西横堀新築地濱時代　天保十四年ヨリ安政三年ニ至ル

○第二次稲荷社内時代　安政三年ヨリ明治四年ニ至ル

○松島千代崎橋時代　明治五年ヨリ明治十七年ニ至ル

○御靈神社内時代　明治十七年ヨリ明治四十二年ニ至ル

○松竹合名社継承　明治四十二年植村家ヨリ繼承

○御靈文樂座燒失　大正十五年十一月二十九日

○隨時興行時代　昭和元年ヨリ昭和四年マデ道頓堀辯天座ヲ始メ其他隨時興行

○四ツ橋文樂座創立　昭和四年十二月以來現在ニ至ル

開演毎に一方ならぬ御後援御來觀を賜り厚く御禮申上げます

當文樂座は　既に皆様御承知の通り我大阪に於ける郷土藝術、三位一体の人形浄瑠璃の日本唯一の公演場でござゐます

文樂座人形浄瑠璃は　大阪の誇りとする舞台藝術のみならず我日本に於ける古典舞台藝術の至寶として世界に誇るべきものであります，従って開演毎にこの大使命が全う出來ますやう、皆様の御期待に背かぬ様、皆様に御滿足して頂けるやうにと一同不斷の努力を致して居りますが尚御氣付きの点は御客様の御聲として承りたく存じ上げます。

貴重品は　各自にお持ち下さいませ、お塲席をお立ちの時は御携帯を願ひます

お煙草は　一階二階廊下に喫煙台を備へてありますからお煙草はぜひ此處でお願ひを致します。お席では御遠慮下さいませ。

お食事は　西側、階下に大食堂が御座ゐます。

賣点は　一階西側休憩所に御座ゐます。

お化粧とお手洗　殿方は西側の一階と二階に、御婦人は東側の一階と二階に御座ゐます。

塲内にて　寫眞撮影は絶對にお斷り申上げます。

御休憩の間は　二階西側に大休憩所の設備が御座ゐます。御辯當御持參の御方様は何率御利用下さいませ。

出演者　病氣其他の事故にて出塲不能の塲合は乍勝手代役にて相勤めますれば右豫め御諒承を願上げます。

★お客様へ特にお願申上げます

物資不足の折柄，洵に恐れ入りますがお下駄履きのお客様は晴雨にかゝわらず上草履を御持參下さいます様、特にお願申上げます

尚、靴、草履のお客様はそのまゝ入塲して頂けますので至極便利でございます。

松竹株式會社　文樂座
　　　　　　　　　　　　　　　支配人　大橋照夫
　　　　　　　　　　　　　　　電話南75三〇三二