0109    S29.09.02

 

===坂東鶴之助フリーを声明===

封建「松竹」に見切り 十月から映画、舞踊会に専念

 

中村扇雀と並んで関西歌舞伎に扇鶴時代を生み出したホープ坂東鶴之助丈(本名渡辺一=23歳)はかねてから大阪松竹に対して配役その他処遇に不満をもっていたが一日午後、大阪歌舞伎座楽屋で「十月以降休演する」という爆弾声明を発表し、関係者を驚かせている

 

積る冷遇の不満爆発

 

鶴之助は八月東上の時も阿呆ばかり三役で休演、また昨年二月にも「忠臣蔵」の配役問題で姿を消したこともある、今度の声明は以前からもらしていた不平の爆発で、成駒屋偏重への反抗というよりも遠因としては封建的な松竹演劇部への積った我慢が爆発したとみられる、近因としては九月のレパートリー、扇雀との「かさね」がいつの間にか姿を消し「月雪ばなし」が決定したことであるが、しかしこれはあくまで卑近な原因で、根本的な原因はやはりこれを契機に本格的な自分の勉強をしたいというのが本音だろう

 

鶴之助はいままで松竹とは特別の専属契約はなく、現在残っているのは松竹映画との今年一杯の契約だけである、なお十月は武智鉄二演出のオペラ「修善寺物語」の演出助手として勉強する予定

 

[歌舞伎だけにこだわらず勉強]

坂東鶴之助丈の話 十月以降松竹の舞台を休みます、松竹側ではもうート月辛抱してくれといいましたが、いままでの手なのでけりました、市川寿海さんも理解ある言葉で激励して下さいました、俳優さんとは何らの感情問題はありません、これからは歌舞伎だけに拘らずに進みます

 

[彼に全幅の協力を]

武智鉄ニ氏の話 以前からきいていたことなので賛成しました、これからの彼の新しい道のためにもちろん協力します

 

[円満に解決したい]

大阪松竹演劇製作室次長・白井昌夫氏の話 いま鶴之助君は興奮しているので、時期をみてなるべく早く円満に解決したいと思います

 

 

 

===訥子丈休演  ソコヒのため現在療養中===

関西歌舞伎の沢村訥子は、三日初・・・・・・・

(戻る)