0505  S21.03.23   朝日新聞

食と妹の財産の恨み“仁左”殺し飯田捕はる

食と妹の財産の恨み

    “仁左”殺し飯田捕はる

 

[既報]“仁左殺し”の有力な容疑者として警視庁捜査一課が全国に指名手配してゐる同居人片岡一座座付作者森田こと飯田利明(22)は二十日午後宮城県玉造郡川渡村温泉旅館で岩出山署員に逮捕された、二十一日朝身柄引取のため捜査一課と原宿署から同地に急行した、同所は殺された実妹岸本まき子さん(12)が在学してゐた山谷堀国民学校の疎開先だった所である

 

二十三日午後同人の着京をまって本格的取調べが行はれる

 

[仙台発]川渡温泉で逮捕された飯田利明は岩出山署で警視庁から出張の係官から一応取調べを受けた結果犯行の一切を自白した、それによると飯田は兇行後一旦自殺を決意したが思ひ返し、十五日午前六時過ぎ兇行を演じたもので、その原因は前夜妹の財産一万五千円のことで仁左衛門夫婦に嫌味をいはれカツとなり妹が子守ばかりさせられ、学校にもやられず、配給のメリケン粉ばかりで米の飯も食はせないではないかと喰ってかゝり、これらを恨みに思ってやったと言ってゐる、兇行後一旦自殺を決意したが思ひ返し、混雑にまぎれて常磐線に飛込み高飛びしたもの

(戻る)