文楽の若手向上会が開かれた大阪・道頓堀の朝日座で二十六、二十七の両日、大阪府立阪南高校の一、二年生千余人が団体鑑賞した。本公演の場合はよく見かけられる風景だが、若手向上会では珍しく、ひととき場内に活気があふれた。

　同校は古典芸能の鑑賞に力を注ぎ、これまでも学内や劇場で歌舞伎、人形劇などを見せて来たが、若者同士の共感を通じて文楽への理解を深めさせるためにと、今回はこの舞台を選んだという。授業の都合で「近頃河原の達引　堀川猿回しの段」と「新曲釣女」を観劇、終演後とくに技芸員による人形遣いの実地解説もあって、いずれも郷土が育てた芸能への関心を強めた様子。付き添いの植栗左知子教諭も「文楽を見るのは初めてという生徒が大半で、やはりことばがわかりにくかったようです。それでも演目がおもしろかっただけに、ずいぶん笑いも聞かれました。こうした試みは今後も続けていきたい」と、満足そうだった。