宝塚でトップスターとよばれるのはいずれも男役。各組の、その男役の個性にあわせて作品も選ばれる。たとえばヒットしている「風と共に去りぬ」の場合、昨年は月組と星組で上演したが、榛名由梨、鳳蘭とそれぞれのトップスターにあわせて、彼女らがふんしたバトラーを中心に��バトラー篇�≠ﾆして構成された。それが、今月の雪組ではトップスター、汀夏子の甘くて細い二枚目ぶりからみてもバトラーは無理。そこで、汀がスカーレットに回って、��スカーレット篇�≠ﾉ書きかえてある。これは来月中旬から始まる花組での安奈淳の場合も同様だ。

　��スカーレット篇�≠ﾅは、彼女が南北戦争で荒れはてた故郷のタラにもどり、みじめな敗戦の中で、農場を守るために生きぬいてゆくところから始まる。金のために妹の婚約者フランク（尚すみれ）を奪って結婚し、夫がＫＫＫ団に加入して死ぬと、次はレット・バトラー（麻実れい）と結婚、そのバトラーは彼女の心が、いまもアシュレ（常花代）にあると知って去ってゆく…と結末は原作通りでしめくくる。大河小説のダイジェスト版としても、汀のスカーレットも、まず無難なできだが、ドラマとしてみた場合は��バトラー篇�≠ﾌ方が面白い仕上がりだったといえる。

その中で、今月の��見どころ″はバトラーの麻実れいといえそう。野性味にこそとぼしいが、男役としてすでに一人立ちできる魅力を発揮しているからだ。脚本・演出は植田紳爾。２月１４日まで。　（廓）